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侃々諤々(6)

こんにちは。メディカルフィットネスMLFトレーナーの杉江勉です。
『より良い充実した日常生活を!』を合言葉に著します。

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上の図をご覧下さい。
私たち人間が重力に抗い、直立二足歩行をするためには、垂直軸・矢状軸・水平軸の三軸が絶対に必要です。どれかひとつでも欠ければ、歩行できなくなります。で、この三軸は私たちが産まれた時から備わっているモノではなく、約半年をかけて三軸を構築します。それも赤ちゃん自身で!トレーナーがそばに付いて指導する訳ではありません。

ここで突然ですが、赤ちゃんはこの世に産まれ落ちると、大きな声で泣きます。。居心地の良かった羊水から、いきなり重力ある世界に引っ張り出されたことで泣く。空腹になれば泣く。オムツが濡れたら泣く。とにかく泣いて泣いて、泣き疲れて眠るまで泣きます。この繰り返しになります。では、何故大きな声で泣くのでしょうか?
彼ら、或いは彼女達の泣いている姿をよく観察すると、思いっきりお腹を動かしています。
私たちは涙を流したり、笑うと下腹部や側腹部が緊張するのが体感できます。
そうなんです、赤ちゃんはこの世に産まれ落ちた瞬間から腹部のトレーニングを始めるのです。
では何故、眼も見えず、言葉も解らないのに腹部トレーニングを始めるのでしょうか?

この問いに答える前に、ちょっとだけ物理の話題を。
『全ての物体には重心がある』
これはこの世の真理です。重心がなければ形として存在できません。
想像してみましょう。コップに入った水は形として存在できます。重心があるからです。このコップに入った水を宙に投げると、形として存在できません。重心が無くなるからです。

ここまで書くと、もうお分かりですよね。
赤ちゃんは重心を作って、この世に形として存在するために腹部トレーニングを始めるのです

この世に形として存在することは出来ました。が、これだけでは赤ちゃんは直立二足歩行できません。直立二足歩行のためには、垂直軸・矢状軸・水平軸の三軸が必要なのです。それも三軸のそれぞれが重心を通ることが絶対条件になります。
この三軸重心貫通を構築するために、赤ちゃんは『仰臥位』になって『泣く』だけではなく、ここから全身を使ってありとあらゆることに挑戦していきます。
外界からの刺激に対して、正面から90度ほどの範囲で視線だけを動かします。この時点では顔を動かしません。生後3ヶ月を過ぎると、顔と視線を同時に動かして外界からの刺激に対して反応します。これらのトレーニングにより頚部(首が据わるということ)や重心は安定していきます(因みに、人間の重心は骨盤内の仙骨のやや前方にあります)。
重心が安定してくると、腕や脚を動かして、肩関節や股関節の水平軸・矢状軸・垂直軸を構築していきます。肩関節や股関節の三軸ができると、より強度の高い動作をするようになります。そのひとつに、『仰臥位』で両脚を持ち上げてキープする動作をします。これは、仙骨のやや前方にある重心を横に貫通する水平軸が構築できたということです。

頚部が据わってくると、頭を左右に捻って『側臥位』に。そうこうしているうちに、股関節の三軸は構築済みですから、脚を使って『腹臥位』になります。『腹臥位』は、初めての世界です!『仰臥位』の景色とは全く違います。もう興味津々で頭や手足を動かして、背部の筋群を徹底的にトレーニングに取り組みます。が、ずっと『腹臥位』では楽しくありません。再び頭を左右に捻って脚も使って、『側臥位』から『仰臥位』に。
アレレ、いつの間にか身体を回旋させることで、重心を垂直に貫通する垂直軸が構築できました。脊柱が安定してきたということです。ここまでが生後5ヶ月です。

生後6ヶ月を過ぎてくると、『腹臥位』で上半身を左右に側屈させる動きをするようになります。これまた、そうこうしているうちに手足で床を押して、下腹部を軸にしてピボットターンがお手のものに。
アレレ、重心を前後に貫通する矢状軸が構築できました。
同時に、この頃になると腕力もしっかりしているので、上半身を起こして(脊柱を重力に対して抗う状態にする)『座位』に挑戦し始めます。

この時点で、重心を貫通する『基本的な三軸』は構築できました。ここからは、この三軸を協働させてより強度の高い複雑な動作を通して、強固な三軸を構築していきます。

『仰臥位』『側臥位』『腹臥位』と、赤ちゃん自身の360度の世界は認識できました。そうなってくると、今度は興味のある場所に行きたくなります。頭も手足もバッチリ動かせます。『腹臥位』で片手を前に伸ばし、反対側の肘に体重を乗せて足で床を押して、気になる場所へ『ずり這い』を。
これは何を意味するかというと、この世に産まれ落ちて約半年かけて重心の水平移動をしたということです。それも自力で!生後8ヶ月の成果です。

『ずり這い』は、腕力・脚力の向上に繋がり、『四つん這い』へのステップになります。『四つん這い』は『ずり這い』よりも移動速度は速いです。気になる場所へより速く移動できます。この動作が『ハイハイ』に繋がります。
このように行動範囲が広がると、当然障害物が赤ちゃんの前に立ちはだかります。が、『ハイハイ』は多少の段差をクリアします。この強度の高い『ハイハイ』が、両膝を床から浮かせて足底で床を蹴る『高這い』に繋がります。この『高這い』を実際にしてみると、腰椎を前弯させないと非常にしにくい動作です。つまり、『高這い』は脊柱のS字カーヴのひとつである腰椎前弯の構築に繋がっています。
さらに『高這い』は『つかまり立ち』に繋がります。(因みに、『つかまり立ち』には両手『つかまり立ち』と片手『つかまり立ち』の2パターン、それと両膝を伸ばす『つかまり立ち』と片膝立ちからの『つかまり立ち』の2パターンがあります。当然片手で片膝立ちの『つかまり立ち』の強度が一番高いです)。片手の『つかまり立ち』に慣れてくると、両膝の屈伸動作を始めます。オオーッ、プレ・スクワットです!これは、『立位』での体重移動の土台となります。これが生後10ヶ月の到達地点です。

もうすぐ1年です。生後12ヶ月を過ぎると、『つかまり立ち』の手を離して『立位』姿勢をキープするようになります。やりました!遂に、重心貫通三軸を使って重力に抗い始めたのです\(^^)/これは、頭部を支える脊柱のS字カーヴが形成され始めることを意味します

もちろん、ここが赤ちゃんの最終到達地点ではありません。ここから重心貫通三軸とS字カーヴ脊柱で、さらに複雑で強度の高いトレーニングに挑んでいくのです。

こうして観てくると、赤ちゃんは何と素晴らしいトレーニー(運動実践者)なんでしょう!トレーナー(運動指導者)がいなくても、ここまでトレーニングをするとは!それも、この世に産まれ落ちた全ての赤ちゃんが、このトレーニングに取り組むのです。

『このトレーニング』とは、『仰臥位』『側臥位』『腹臥位』『座位』『ずり這い』『四つん這い』『ハイハイ』『高這い』『つかまり立ち』『立位』の肢位での動作です。不良姿勢の連続で機能不全になった、別の表現をすれば、重力に抗えなくなった身体のリセットには最良のメソッドだと、私は信じています。
余程の事情がない限り、私は全てのパーソナルトレーニングで『仰臥位』~『立位』の順番を盛り込んで、強度を漸増させています。

この世に産まれ落ちた瞬間の、赤ちゃんのアノ大きな泣き声。あれは、私には『絶対にこの重力に抗ってやる!』という魂の『叫び』に思えてなりません。

『解りやすさ』を心がけています。
真(まこと)を込めて運動指導致します。
私と一緒に『いつまでも歩けるカラダづくり』をしませんか?

健康運動実践指導者
健康運動指導士
PHI公認ピラティスインストラクター
JNFA公認NWベーシックインストラクター
杉江 勉

この記事の著者:杉江 勉

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